【ぶらり黄酒探訪 店レポ編8】圧巻の本格四川郷土料理と、おもてなし『雲蓉』(吉祥寺)

【ぶらり黄酒探訪 店レポ編8】圧巻の本格四川郷土料理と、おもてなし『雲蓉』(吉祥寺)

黄酒が楽しめるお店巡り。
今回は、2018年末にオープンした
本格四川料理店『雲蓉』(ユンロン)さんへ
行ってきました。

シェフの北村さんは四川現地で修行もされた
本格派。ホールに立つのは吉林省出身、
明るく熱い想いを秘めた黄さん。

お二人の実直でまじめであたたかな人柄が
料理やサービスにふんだんに表れている
よいお店だなと素直に感じました。

 

 

吉祥寺駅からハモニカ横丁を越えてさらに奥へ

吉祥寺から歩くこと7~8分ほど。
賑やかなハモニカ横丁を横目に
駅から離れるようにして歩きます。

威厳があるもどこか優しさも帯びている
筆文字の看板が飛び込んできます。
吉祥寺の老舗、歴史のあるはんこ屋さん。
雲蓉はその横にあります。

この日は黄酒の会も兼ねての訪問。
募集をかけたところ人数が集まり
結果的に貸切となりました。

まずはドリンクから。
メニューはこちら。
お酒だけでなくお茶も注力されています。

各々好きなお酒を注文し、乾杯!

 

今日の黄酒ラインナップは5種

<今日の黄酒1>
『女児紅10年』(ニューアルホン)

紹興酒の中でもキュッとした酸味があり
すっきりとした辛口タイプ。

これは最初に登場しました。
料理が前菜数種だったので
さまざまな味のものに合わせることを考えると
やはり黄酒の中では守備範囲の広い
紹興酒が最適かなと思います。
上海の石庫門などクセのないお酒もよいかなと思います。

今回折角なので、普段お店に置いていない黄酒や中国酒を
3種持ち込ませて頂きました。(※持ち込み料1本2,000円)
 

<今日の黄酒2>
即墨老酒 焦香型(ジーモウラオジョウ)

青島のみならず中国を代表する老酒のひとつ。
黍を煎り焼くようにして熱入れする
独特製法から生まれる
スモーキーフレーバーは唯一無二。

料理と合わせるのは正直難しさがありますが、
こんがりと焼いて香ばしさが漂う肉料理や、
上海蟹の白子など
ネットリクリーミィな味わいのものと
合いますね。
 

<今日の黄酒3>
孔乙己5年(コンイージー)

古参酒蔵「中粮酒業」が誇る「黄中皇」同様に
伝統手工製法で造られる紹興酒。
ツンとくる酸、渋が強く、紹興酒に
飲みなれたツウ向けの仕上がりです。

単品で飲むとキツさを感じる面もありますが
料理と合わせるとツンとした風味が
いい塩梅にバランスとってくれたりして
食中酒として力を発揮してくれる紹興酒だなと思います。
 


 

<今日の黄酒4>
麗子佳人<桑の実>(リィズ)

葡萄未使用の桑の実ワイン。
完熟した桑の実の色同様
紫黒に近い色合いで
渋味は弱く丸味のある風味で
大変飲みやすい仕上がりです。
 


 

<今日の黄酒5>
金朱鷺黒米酒(ヘイミー)

登場頻度の高い定番となってきた黄酒。
陝西省洋県の地理標示産品”洋県黒米”を主原料として
高い精米歩合でフルーティな味わいを実現した
古代米黄酒。
ほのかな甘味と酸味が日本人の舌に
フィットしやすいようです。
 

チェイサー(ビールやドラゴンハイボールなど)を飲みながら
これら黄酒を料理と共に楽しみました。

 
 

料理は我儘なお願いをしました。そうしたら・・・

今回はおまかせのコースでお願いをしていました。
おこがましくも恐る恐るリクエストをひとつ。

それは
  
何か、普段お出ししていない料理を
ご用意頂くことは可能ですか?
  

厨房をお一人で切り盛りされている北村さん。
仕込みで大忙しのはずなのですが
快諾して頂きました!
それだけでも嬉しかったのですが
さらに驚く結果に。
なんとなんと・・・
   

コースのほとんどが
この日限定の料理となったのです!

   

お願いをしたときに
「現地感のある料理がいいですよね?」
と期待に胸躍るひと言を頂きましたが
ここまでしてくれるとは
思っていませんでした・・・
しかも、こちらが恐縮
してしまうぐらいの出来栄え。
今思い出しても、
またそのときの喜びが思い出されて
胃袋が疼いてきますね。
 
 

黄酒の会限定!雲蓉特別コースに脱帽


 

料理はこちら前菜6種からスタート。
次々と運ばれてくる前菜たち。
これだけで黄酒ががぶがぶと
進んでしまいそう。
 

怪味凉荞面(祟州冷やし蕎麦)
通常はダッタンソバを使用しますがこの日は日本の蕎麦を使用。
北村さんは料理によって使用する唐辛子も変えていて
この料理には貴州の「縦椒」やキノコ唐辛子など
香りや味の強いものを使用しているとのこと。

後からカァッ!!!と熱くなる辛さに襲われ、
悶絶する人、続出。
四川の洗礼を一番受けたときかもしれません。
それでも、蕎麦の食感と唐辛子の香ばしさで
ズルズルとまた食べてしまうのです。
 

麻辣牛肉干(四川風ビーフジャーキー)
牛肉を白卤水で煮詰めるようにたき、一晩干します。
再び卤水と自家製辣油に干した牛肉を入れて味を染み込ませます。
ほのかな甘味が感じられるのですがその正体は酒醸(チューニャン)。
中国の甘酒のようなものです。

北村さん、こうした調味料から手作りされています。
香辛料を数種組み合わせて作る
中国の調味料液「ルースイ」は8種類あり、
料理によって使い分けているそうです。
豆板醤も空豆を発酵させるところから手作り。
しかも香辛料は現地調達。
このこだわりが料理の随所に表れているのだなと
振り返ってみても思います。
 

羌族排骨香肠(チャン族のスモーク腸詰
茂県チャン族の料理。国産のバックリブやスペアリブなどを使用。
ラーロウ(中国ハム)を作って腸詰にして、スモークしています。
黄酒のおつまみにぴったり!
 

その他、定番の一品ながらひと工夫施された
「芥末卤鸭舌」(自家製紅卤水で煮込んだ鴨舌)や皮蛋盛りも。
皮蛋と紹興酒の組み合わせはたまりませんね。
 

嘉州白宰鸡(四川古法よだれ鶏)
四川の古典的な料理で田舎ではポピュラーな鶏肉の冷菜。
雲白肉などでお馴染み、口水汁(酸辛醤油ダレ)を使用。
唐辛子の種をしっかり取って刻んだ刀口辣椒もアクセントに。
 

金沙玉米(とうもろこし天婦羅の自家製甘粉和え)
爽快な甘味広がるトウモロコシの天婦羅。
口の中がヒー!ハー!ななか、
みなこの一品が救いとなったようでした笑
まさに黄金のオアシス。
トウモロコシ本来の味とまぶされた
パウダーの癒しが絶妙でした。
 

回锅甜烧白
こちらも四川の伝統料理で
祝いの席で食される縁起のよい一品。
豚のテールに近い部分、脂身の多い部分の豚肉を使用。
その肉をゆでてあんこをはさみ、
自家製キャラメル、ジャスミンライス、
もち米と合わせて蒸してから回鍋肉の技法で炒めます
おはぎのような食感と味わいで、箸休めに◎
 

雪花鸡淖
1.2キロ未満の雌鶏の肉を使用して
豚の皮の上で肉をたたき、卵白と片栗粉、清湯で味入れ。
鶏肉とは思えないふわりとした食感。
まるでお粥のようでした。四川の伝統高級料理。
※通常は3日前に要予約
 

魚香脆皮蝦
カリっと揚げた蝦を発酵唐辛子などから造った魚香で炒め和え。
添えられた野菜は地元三鷹産の野菜。
お店が休みの日に自転車で地元を巡るという北村ご夫妻。
農家さん次第でこちらの内容は変わるようです。
この日はパープルカリフラワーとグリーンピースで
見事に蝦が彩られていました。
 
 

そしてこの日、一番の歓声が上がったのは
こちら。

 
 

いつもはここまで大きな魚を仕入れることは
ないとのこと。1.3kgの神経〆された桜鯛です。

一度軽く蒸したあと、
ししとう、臭豆豉、ささげ(いんげん)の泡菜などをのせ
再び蒸します。柔かいだけでなく
グミっとしっかり歯に乗っかってくる絶妙な弾力に
みなさんから感嘆の声。
身もさることながら
四川や貴州で多用される臭豆豉や泡菜などの
風味もよいアクセントとなって
パクパクと箸が進みます。
 

 


 

実はさらに現地風のホイコーローや
麻婆豆腐まで登場し、
胃袋ははちきれんばかりにパンパン。

「残すぐらいの量で出すのが中国風ですから 笑」

そこまで現地へのこだわりをもって
臨んで頂いた北村さんに
脱帽です。笑

デザートは別腹、ということで〆はこちら


 

眉山红糖冰粉
冰粉子(ビンフェンズ)を水で揉んで固め、
山査子や自家製酒醸、桃の樹液などをのせた
デザート。多彩な味と食感が楽しめます。
とても美味しかったし癒されました。
夏場に冷やして食べてみたい。

 

雲蓉の魅力。現地の経験に基づいた本格料理、酒 × 人柄

ご参加のみなさんが料理と共に
感動されていたのは
料理の合間にあった
黄さんの熱心な説明。

自国の文化をリアルさをもって伝えて
楽しんでもらいたい、
というのがその姿勢から感じられました。

日本はおもてなしの国、というけれど
僕は人によると思っていて(冷めていてすみません
黄さんはまさにおもてなしの方でした。
中国酒・料理を飲み食べにきた人に対して
味+αを提供するのは当然だと
言わんばかりの熱のこもったお話。
ここまで熱心に説明をしてくれたのは
この会では初めてだと思います。

そして、北村さん。
調味料を手作り、香辛料はほぼ調達
丁寧な仕事ぶりは料理の隅々に味となって
表れています。

なぜここまでして
手作りにこだわるのでしょうか。

「これをしたからといって味がすごく
劇的に変わるというわけでもないんです。
省略したやり方でもおいしい。
まぁ・・・自己満ですね 笑」

さまざまなことが効率化していく時代の流れの中で
どうやってそのモノ・コトができているのか
見えづらくなっていっていると感じます。
外見は同じでも、
過程、プロセス、そのストーリーに
魅力を感じるのは
自分だけではないように思います。

料理の話をお聞きしながら
ワクワクしている自分がいたし
ご参加頂いたみなさんの
心から満足した声、表情を見て
このドラマは北村さんと黄さんだからこそ
作り上げられたものだなと思ったのでした。

大満足です。
お忙しい中この会のためにご準備頂き
ありがとうございました!

吉祥寺に行かれたら
ぜひ足を運んでみてください。
 

\ ぶらり 黄酒探訪 8 /
(黄酒、飲みに行きませんか?8 )

■日時 2019年3月29日(金)18時30分~
■場所 雲蓉(ユンロン)
https://tabelog.com/tokyo/A1320/A132001/13229797/
■参加人数 10名
■会費 9400円 / 1人